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商業用太陽光PV設計:トラッカー選定とN型セル標準

December 17, 20253 min readファクトチェック済みAI生成

SOLAR TODO

太陽エネルギー・インフラ専門家チーム

商業用太陽光PVのトラッカー選定とN型セル選定を体系解説。1軸トラッカーで発電量+15〜25%、N型TOPCon/HJTで効率22〜23%・温度係数-0.29〜-0.32%/℃を達成し、LCOEを4〜10%低減するための設計指針とIEC/IEEE規格適合の要点を示す。

Summary

商業用太陽光PVシステム設計におけるトラッカー選定とN型セル選定の実務ポイントを解説。1軸トラッカーで年間発電量を最大25%向上、N型TOPCon/HJTで温度係数-0.29〜-0.32%/℃、LCOEを3〜8%低減するための設計基準と国際規格への適合方法を整理します。

Key Takeaways

  • 年間GHI1,300kWh/m²以上のサイトでは、1軸トラッカー導入で固定架台比15〜25%の発電量増加を見込み、IRRを1〜3ポイント改善するかをLCOEで評価すること
  • 風速基準Vref=40〜50m/sの地域では、トラッカー構造の設計風速≥Vref×1.2とし、IEC 62817およびJIS C 8955に準拠した構造計算・疲労評価を実施すること
  • N型TOPCon(変換効率22〜23%)とPERC(20〜21%)を比較し、同一容量で必要モジュール枚数を約8〜12%削減し、架台・配線コストをkWあたり3〜7%低減できるかを試算すること
  • N型セルの温度係数(-0.29〜-0.32%/℃)とP型(-0.35〜-0.38%/℃)を比較し、モジュール温度65℃前後となる高温サイトで年間発電量を2〜4%上乗せできるかをシミュレーションすること
  • 両面受光N型モジュールでは、地表反射率Albedo 0.3前後で背面発電寄与を5〜12%と見込み、トラッカー設計時に列間隔1.2〜1.5倍を確保して相互影を抑制すること
  • 商業施設の屋根上(10〜500kW)では、荷重制約(≤20〜25kg/m²)と耐風性能を優先し、トラッカーより高効率N型固定架台の方がLCOEを3〜5%低く抑えられるかを比較検討すること
  • 1MW以上の地上設置では、トラッカー+N型の組み合わせにより、同一敷地でDC容量を10〜15%増設しつつLCOEを4〜10%低減できるかをCAPEX/OPEX含めて評価すること
  • 仕様策定時にはIEC 61215/61730、IEC 62817、IEEE 1547、国内系統連系要件を明記し、N型モジュールのPID/LeTID・LID損失を合計1%以下に抑える保証条件を契約に盛り込むこと

商業用太陽光PVシステム設計の概要

商業用太陽光PVシステムでは、kWあたりの初期コストだけでなく、20〜30年のライフサイクルで見たLCOE(均等化発電原価)の最小化が重要です。その中でも、架台方式(固定架台かトラッカーか)とセル技術(P型かN型か)は、発電量・信頼性・保守コストに大きく影響する主要パラメータです。

近年、1軸トラッカーはメガソーラーを中心に世界で急速に普及し、N型セル(TOPCon、HJT、IBC)は高効率と低LID/LeTID特性から商業用案件でも採用が増えています。しかし、すべての案件でトラッカーとN型が最適とは限らず、サイト条件・電力単価・系統要件を踏まえた定量評価が不可欠です。

本稿では、商業用PVプロジェクトの設計・調達に携わるエンジニアや調達担当者向けに、トラッカーシステムの選定基準とN型セルモジュールの選定ポイント、関連する国際標準・国内規格との整合の取り方を体系的に整理します。

トラッカーシステム選定の技術的ポイント

トラッカー導入の目的と効果

トラッカーの主目的は、モジュール面を太陽に追従させることで、直達日射の捕捉量を増やし、年間発電量(kWh/kWp)を向上させることです。代表的な効果は以下の通りです。

  • 1軸トラッカー:
    • 固定架台比で年間発電量+10〜25%(NRELやIEAの実測・シミュレーション事例)
    • 特にDNI(直達日射)が高い地域で効果が大きい
  • 2軸トラッカー:
    • 固定架台比+30〜40%も可能だが、構造と保守が複雑で商業用では限定的

商業用案件では、コスト・信頼性・施工性のバランスから、水平1軸トラッカー(HSAT)または傾斜1軸トラッカー(TSAT)が主流です。導入可否は、追加CAPEXと発電増加分から算出されるLCOEおよびIRRで評価します。

サイト条件とトラッカー適合性

トラッカーの有効性は、以下のサイト条件に大きく依存します。

  • 日射条件
    • 年間GHIが1,300kWh/m²以上
    • DNIの割合が高い(晴天率が高い)地域ほど有利
  • 地形・敷地条件
    • 南北方向に長く、東西方向に十分な列間隔を確保できる
    • 傾斜5〜10%以下が望ましい(それ以上は造成コスト増)
  • 風環境
    • 基準風速Vrefが高い地域(海岸部・山岳部)では構造コストが増大
    • 極端な突風・台風リスクが高い地域では、ストウ角度制御と構造安全率が重要
  • 地盤条件
    • 杭打ち深さ2〜3mを確保できる支持地盤
    • 軟弱地盤では杭長増加や地盤改良が必要

これらを踏まえ、初期段階で簡易シミュレーション(例:NREL PVWattsやPVsyst)により、固定架台とトラッカーの年間発電量差(%)と、追加CAPEX/kWpを比較することが有効です。

構造・機械設計の基準

トラッカーの構造設計では、風荷重・雪荷重・地震荷重を考慮し、国際規格と国内基準に適合させる必要があります。

  • 風荷重
    • 設計風速:Vdesign ≥ Vref × 1.2(例:基準風速40m/sなら設計48m/s以上)
    • 風洞試験または数値流体解析(CFD)に基づく空力係数の設定
    • ストウ姿勢(多くは水平または風下側への傾斜)での安定性確認
  • 雪荷重
    • 地域の積雪荷重区分に基づき、モジュール面荷重(kN/m²)を算定
    • トラッカーは通常、固定架台よりも雪に弱いため、豪雪地帯では慎重な検討が必要
  • 地震荷重
    • 日本では建築基準法および関連指針に基づく耐震検討が必須

また、IEC 62817はトラッカーの設計認証に関する国際規格であり、以下の試験・評価を定めています。

  • 機械的耐久試験(数千〜数万サイクル)
  • 制御システムの信頼性評価
  • 非常時ストウ機能の確認

調達仕様書では、「IEC 62817適合または同等の第三者認証取得済み」であることを明記するのが望ましいです。

駆動・制御方式の選定

トラッカーの駆動・制御方式は、保守性とシステム信頼性に直結します。

  • 駆動方式
    • 電動モーター+ギアボックス:最も一般的。防水・防塵(IP65以上)と潤滑管理が重要
    • 油圧駆動:大規模で採用例ありだが、漏油リスクと保守負荷が増す
  • 配置方式
    • 中央駆動(1台のモーターで複数列を駆動):
      • コスト効率が高いが、1台故障時の影響範囲が大きい
    • 列ごと独立駆動:
      • 冗長性が高く、部分故障時の発電損失が限定的
  • 制御方式
    • 天文アルゴリズム(太陽位置計算)制御:標準的
    • センサー(光センサー)補正:曇天時の最適化に利用される場合もあるが、センサー故障リスクも考慮
    • 風速センサー連動ストウ:風速閾値(例:15〜18m/s)で自動ストウ

商業用案件では、O&M体制や遠隔監視システム(SCADA)との連携を考慮し、故障診断・ログ取得・リモート制御機能を備えた制御システムを選定することが重要です。

N型セルモジュール選定の技術的ポイント

N型セル技術の概要

N型セルは、ベースシリコンがN型(電子が多数キャリア)であることから、P型に比べて以下の利点があります。

  • 高効率
    • 量産モジュール効率:22〜23%(TOPCon)、21〜22%(HJT)
    • 同一面積あたりの出力が高く、敷地制約のある案件で有利
  • 低LID/LeTID
    • PERCで問題となるボロン-酸素対によるLIDが基本的に発生しない
    • LeTIDも適切なプロセス管理で抑制可能
  • 優れた温度特性
    • 温度係数:-0.29〜-0.32%/℃程度(PERCは-0.35〜-0.38%/℃が一般的)

一方で、セルプロセスが複雑でコストが高く、モジュールあたりの単価はPERCより数%〜10%程度高い場合があります。そのため、LCOEベースでの評価が不可欠です。

N型セルの種類と選定

代表的なN型セル技術と特徴は以下の通りです。

  • TOPCon(Tunnel Oxide Passivated Contact)
    • 効率:セルで24〜25%、モジュールで22〜23%クラス
    • PERCとの製造互換性が高く、コスト低減が進展
    • 両面受光構造との相性が良い
  • HJT(Heterojunction)
    • 効率:セルで24〜25%、モジュールで21〜22%クラス
    • 低温プロセスで温度係数がさらに良好(-0.25〜-0.29%/℃の事例も)
    • 製造設備が専用でCAPEXが高いが、高性能
  • IBC(Interdigitated Back Contact)
    • 電極が全て裏面にあり、表面遮光が少ない
    • 変換効率は非常に高いが、コストも高く、主に住宅・プレミアム市場向け

商業用案件では、コスト・供給量・実績の観点から、N型TOPConが主流になりつつあります。調達時には、メーカーの量産実績(GW規模)、フィールド実績年数(少なくとも3〜5年)、認証状況(IEC 61215/61730、IEC TS 62804など)を確認することが重要です。

N型モジュールの性能評価指標

N型モジュールを選定する際の主要な技術指標は以下です。

  • 公称出力:
    • 商業用では430〜600Wクラスが主流(182mm/210mmウェハベース)
  • モジュール効率:
    • 21〜23%。同一レイアウトで設置可能容量を増やせる
  • 温度係数(Pmax):
    • -0.29〜-0.32%/℃。高温時の出力低下が小さい
  • 両面率(bifaciality factor):
    • 両面N型では0.7〜0.85が一般的
  • LID/LeTID:
    • 初年度LID+LeTID合計≦1%を保証するメーカーも増加
  • 年間劣化率:
    • 0.25〜0.4%/年。25〜30年後の出力保証80〜88%レベル

これらのパラメータを用い、シミュレーションソフト(PVsyst等)でPERCとの年間発電量差(kWh/kWp)とLCOE差を比較することが推奨されます。

N型×トラッカーのシナジー

N型モジュールとトラッカーを組み合わせることで、以下のシナジーが期待できます。

  • 高効率×追尾で、同一敷地でのDC容量を10〜15%増設可能
  • 温度係数が良いため、トラッカーによる直射日射増加でセル温度が上昇しても、PERCより出力低下が小さい
  • 両面N型+1軸トラッカー+高反射地面(Albedo 0.3〜0.4)で、固定片面PERC比+20〜30%の年間発電量増加も実例あり

ただし、トラッカー構造との相性(モジュール寸法・重量・クランプ位置)や、背面ケーブル処理、背面受光を阻害しない架台設計など、詳細な機械・電気設計の調整が必要です。

商業用案件での適用・ROI分析

代表的な適用シナリオ

商業用PV案件での代表的なシナリオと、トラッカー/N型採用の適合性を整理します。

  • 屋根上商業施設(10〜500kW)
    • 制約:荷重(20〜25kg/m²)、屋根形状、施工スペース
    • 推奨:固定架台+高効率N型モジュール
    • 理由:トラッカーは構造・荷重・防水の観点で不利
  • 中規模地上設置(0.5〜5MW)
    • 制約:敷地形状、造成コスト、系統連系容量
    • 推奨:固定架台+N型、または1軸トラッカー+PERC/N型をLCOEで比較
  • 大規模地上設置(5MW以上)
    • 制約:敷地単価、O&M体制、ファイナンス条件
    • 推奨:1軸トラッカー+N型(TOPCon)を第一候補とし、固定PERCとLCOE・IRRを比較

LCOEおよびIRRの比較評価

LCOEは以下の式で概算できます。

LCOE ≒ (初期CAPEX+割引現在価値化したOPEX) ÷ 生涯発電量

トラッカー+N型のケースでは、

  • CAPEX:固定PERC比+5〜15%
  • OPEX:保守費用+5〜10%(駆動部・センサーの保守)
  • 生涯発電量:+15〜30%(サイト条件による)

といった関係になることが多く、日射条件が良いサイトではLCOEが4〜10%低減し、IRRが1〜3ポイント向上するケースが一般的です。逆に、日射量が低く電力単価も低い地域では、追加CAPEXを回収できず、固定PERCの方が有利となる場合もあります。

選定のための比較表

以下は、固定PERC・固定N型・トラッカー+N型の典型的な比較イメージです(実プロジェクトでは詳細試算が必要)。

項目固定架台+PERC固定架台+N型1軸トラッカー+N型
初期CAPEX/kWp基準+3〜7%+10〜20%
年間発電量/kWp基準+2〜4%+15〜25%
LCOE基準▲1〜3%▲4〜10%
構造複雑度
O&M負荷中〜高
適用サイト屋根上・小規模屋根上・地上中〜大規模地上

調達・設計段階では、このような比較表をプロジェクト固有の条件(地価、電力単価、税制優遇など)でカスタマイズし、投資家・経営層に提示することが有効です。

トラッカーとN型セル選定の実務ガイド

仕様書に盛り込むべき主な要件

調達仕様書(RFP/RFQ)には、以下のような技術要件を明記することが推奨されます。

  • モジュール
    • セル技術:N型TOPConまたは同等以上(HJT等)
    • 規格:IEC 61215、IEC 61730、IEC TS 62804(PID)、IEC 62716(アンモニア)、IEC 61701(塩害)
    • 性能:
      • 公称出力:≥430W(屋根上)または≥540W(地上)
      • 温度係数(Pmax):≤-0.32%/℃
      • 初年度LID+LeTID:≤1%
      • 年間劣化率:≤0.4%/年
  • トラッカー
    • 規格:IEC 62817準拠
    • 設計風速:Vdesign ≥ Vref ×1.2
    • 駆動・制御:冗長性、ストウ機能、遠隔監視機能
    • 構造:JIS C 8955相当の構造計算、耐風・耐雪・耐震検討
  • 系統連系
    • インバータ:IEEE 1547(または国内系統コード)準拠
    • 保護・制御:系統要件に基づく出力制御・無効電力制御機能

リスクと対策

トラッカーおよびN型モジュールには、以下のようなリスクと対策があります。

  • トラッカー
    • リスク:風害・機械故障・制御不具合
    • 対策:
      • 実績あるメーカー・モデルの採用
      • 予防保全計画(年1〜2回の点検)
      • 予備品(モーター・コントローラ)の常備
  • N型モジュール
    • リスク:新技術ゆえの長期実績不足、一部プロセスでのLeTID懸念
    • 対策:
      • 第三者の長期屋外試験データの確認
      • 25〜30年の出力保証条件の精査
      • PID/LeTID試験結果の提示要求

これらを事前に織り込むことで、長期の発電性能とO&Mコストの予見性を高めることができます。

FAQ

Q: 商業用PVでトラッカーを採用するかどうかの判断基準は何ですか? A: 判断の第一ステップは、日射条件と電力単価です。年間GHIが1,300kWh/m²以上で、売電単価または自家消費価値が高い場合、1軸トラッカーにより15〜25%の発電量増加が期待でき、LCOEが4〜10%低減するケースが多くなります。次に、風速・地形・地盤条件を確認し、構造コストや保守負荷が許容範囲かを評価します。最後に、固定架台案とトラッカー案でCAPEX/OPEXと生涯発電量を比較し、IRRやNPVで投資判断を行うのが実務的です。

Q: N型セルモジュールはP型PERCと比べてどの程度メリットがありますか? A: N型TOPCon/HJTモジュールは、PERCに比べて変換効率で約1〜2ポイント高く、同一面積で8〜12%程度多くの容量を設置できます。また、温度係数が-0.29〜-0.32%/℃と良好なため、高温時の出力低下が小さく、年間発電量で2〜4%の上乗せが見込めます。さらに、LID/LeTIDが小さいため、初年度と長期の劣化が抑えられ、25〜30年の累積発電量が数%〜10%程度向上する可能性があります。ただし、モジュール単価が数%〜10%高いので、LCOEでの比較が重要です。

Q: トラッカーシステムの保守は固定架台と比べてどのくらい増えますか? A: トラッカーは駆動部や制御システムを持つため、固定架台に比べて保守作業が増えます。一般的には、O&MコストがkWあたりで5〜10%程度上昇すると見込まれます。具体的には、年1〜2回の定期点検で、ボルトの緩み確認、潤滑、モーター・ギアボックス・センサーの動作確認などが必要です。また、故障時には交換用部品の在庫管理と迅速な対応体制が求められます。一方で、遠隔監視とアラーム機能を備えたシステムを採用すれば、異常検知と対応の効率化が可能です。

Q: 商業用屋根上案件でトラッカーを使うのは現実的でしょうか? A: 一般的には、商業用屋根上案件でトラッカーを採用するのは現実的ではない場合が多いです。その理由は、屋根の許容荷重が20〜25kg/m²程度と限られており、トラッカー構造物と動的荷重がこれを超えやすいこと、屋根の防水層への影響、風による揺れと建物構造への負担などが挙げられます。また、屋根形状が複雑で、トラッカー列を効率的に配置しにくいことも多いです。そのため、屋根上では高効率N型モジュール+低傾斜固定架台の組み合わせが、LCOEとリスクのバランスに優れた選択となるケースが大半です。

Q: N型モジュールを選ぶ際に確認すべき規格や認証は何ですか? A: まず必須となるのは、IEC 61215(設計認証・型式認証)とIEC 61730(安全性)の適合です。加えて、PID耐性を確認するIEC TS 62804、アンモニア腐食(IEC 62716)、塩害(IEC 61701)など、設置環境に応じた追加試験の有無を確認します。N型特有のLID/LeTIDについては、各メーカーが独自試験結果を提示していることが多いため、初年度LID+LeTIDが1%以下であることを仕様に明記するとよいでしょう。また、第三者認証機関(TÜV、ULなど)による認証レポートを入手し、セル構造や封止材などの仕様も確認することが重要です。

Q: トラッカー+N型の組み合わせは、どの程度LCOEを下げられますか? A: サイト条件とコスト前提によりますが、代表的なメガソーラー案件では、固定架台+PERCに対して、トラッカー+N型でLCOEを4〜10%程度低減できるケースが多く報告されています。初期CAPEXは10〜20%増加しますが、年間発電量が15〜25%増加し、N型の高効率と低劣化により生涯発電量がさらに上乗せされます。電力単価が高い自家消費案件や、長期の売電契約があるPPA案件では、このLCOE低減がIRRの1〜3ポイント向上に直結することが多く、投資家にとって魅力的な選択肢となり得ます。

Q: トラッカー導入時の風害リスクをどう管理すべきですか? A: 風害リスク管理の第一は、適切な設計風速の設定と構造設計です。地域の基準風速Vrefに対して、少なくとも1.2倍以上の設計風速を採用し、風洞試験やCFD解析に基づいた空力係数で構造計算を行います。第二に、ストウ戦略が重要で、風速センサー連動で15〜18m/s程度を閾値に自動ストウする機能を備え、停電時にもバッテリーや重力で安全姿勢に移行できる冗長設計が望ましいです。さらに、過去の台風・突風の実績があるメーカーの機種を選定し、保険(機械保険・風災保険)で残余リスクをカバーすることも有効です。

Q: N型モジュールは低照度条件でも有利ですか? A: N型セルは、キャリアライフタイムが長く、表面パッシベーションが優れているため、一般に低照度特性が良好とされています。実測データでは、朝夕や曇天時の低照度条件で、同一W数のPERCと比較して1〜3%程度高い出力を示すケースがあります。ただし、その差は日射条件やモジュール構造によって変動し、必ずしも大きな値とは限りません。低照度特性を重視する場合は、メーカーが提供するI-Vカーブや第三者試験所の比較データを確認し、シミュレーションモデルに反映させることが重要です。

Q: トラッカーシステムの寿命とモジュール寿命の整合はどう考えるべきですか? A: モジュールの設計寿命は通常25〜30年を想定していますが、トラッカーの機械部品(モーター、ギアボックス、ベアリングなど)はそれより短い寿命部品を含みます。そのため、プロジェクト期間中に1〜2回の主要部品交換が発生する前提で、LCOE計算にOPEXとして織り込むことが現実的です。構造体(杭・主梁)はモジュールと同等以上の耐用年数を持つように設計し、腐食対策(溶融亜鉛めっき、適切な防食設計)を徹底します。調達契約では、10〜15年の延長保証オプションや、長期保守契約をセットで検討することも有効です。

Q: 商業用PVで求められる主な系統連系・安全規格は何ですか? A: 国際的には、分散型電源の系統連系要件としてIEEE 1547が広く参照されており、電圧・周波数変動時の挙動や無効電力制御、LVRT/HVRTなどの要件が定められています。日本国内では、各電力会社の系統連系技術要件やJET認証などが適用されます。モジュールについてはIEC 61215/61730、トラッカーについてはIEC 62817、インバータについてはUL 1741やIEC 62109などの安全規格が関連します。調達仕様書では、これらの規格番号と適用年版を明記し、適合証明書や試験レポートの提出を求めることが重要です。

References

  1. NREL (2024): Solar resource data and PVWatts calculator methodology
  2. IEC 61215 (2021): Crystalline silicon terrestrial PV modules – Design qualification and type approval
  3. IEC 62817 (2014): Design qualification of solar trackers
  4. IEEE 1547 (2018): Standard for interconnection and interoperability of distributed energy resources with associated electric power systems interfaces
  5. IEC TS 62804 (2015): Test methods for the detection of potential-induced degradation in crystalline silicon PV modules
  6. IEC 61730 (2016): Photovoltaic module safety qualification
  7. IEA PVPS (2024): Trends in photovoltaic applications – Survey report of selected IEA countries

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著者について

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